洋画吹き替えでタレントを起用する3つの理由
自宅で洋画を見る人の約85%が「吹き替え派」で、半数以上がタレントよりもプロ声優による吹き替えを希望していることが分かった。スターチャンネルが男女1000人を対象に行った「映画の鑑賞スタイルと吹き替え需要の高まりに関する実態調査」で明らかになった。
映画を映画館で月2回以上見る人は全体の2%。一方、自宅で見る人は「週1回以上」「月に2~3回」「月に1回」を合わせて76%に及んだ。自宅で映画を見る際、字幕と吹き替えのどちらで見たいかを聞いたところ、85・7%が吹き替えと回答した。「ストーリーを把握しやすい」「ストーリーを楽しめる」などが多数意見だった。
また、吹き替え需要拡大の背景には、“ながら視聴”派の存在も大きい。30代~60代の女性に限ると「家事をしながら見るため」という声が4割以上あった。
吹き替え版の映画に出演してほしいタレントについての質問には「タレントではなく声優がいい」と答えた人が563人で、半数以上となった。話題性や知名度でのタレント起用よりも、登場人物になじみやすくストーリーに集中できる声優に演じてほしいという本音がにじむ結果となった。
ちなみに、自宅での映画観賞の場合、スマートフォンやタブレットで視聴している人はわずか4%。テレビモニターが96%と圧倒的だった。
(出典:http://www.nikkansports.com/entertainment/komakai/news/f-et-tp0-20130814-1172762.html)
約半数以上がプロ声優の吹き替えを希望
近年、タレントやアイドルが声優を担当したりすることが増えてきましたが、
上記で引用した記事によると調査対象の半数以上が、タレント声優ではなくプロ声優による動画の吹き替えを希望しているそうです。
この調査結果だけを見ると、どう考えてもプロ声優に吹き替えしてもらう方が原作の世界観を壊さないのでベターだと思うのですが、どうやら実際の制作現場はそうではないようです。
ではなぜ、タレント声優を吹き替えに使うのでしょうか。
あくまで私の想像の範疇ということを前提に、様々な可能性を取り上げてみます。
1:原作のファン以外の人にも観てもらいたい
これが一番多いところではないかと勝手に思っています。
原作ファンは作品が映画化されたら必ず観に行くと思いますが、莫大な予算をつぎ込んでいる関係上収益を上げなければいけないので、ビジネス的には『原作のファン以外の人』にも作品を観てもらうことが必要です。
『原作のファンでない人』に興味を持ってもらうには内容や広告の出し方なども大事ですが、一番手っ取り早いのは好感度の高いタレントさんを声優で起用することです。
自分の好きなタレントさんが映画の吹き替えの声優になっていたら、あまり映画そのものに興味がなくても観てみようという気になりますよね。
そういった形で、タレントファンでもいいから観てください!そしてもしよかったら口コミで広めてください!!というスタンスでタレントを起用しているのだと思います。
2:そのタレントしかマッチする声がいない
第2の理由として、原作のイメージとマッチする声がタレントさんしかいないからタレントを使うという可能性もあるかと思います。
キャラクターに変にこなれた感じではなく、素人臭さが欲しい時にもそのような起用になるのではないかと思います。
声は100人の人がいたら100人とも違う声をしていますので、なかなか原作のイメージに合う声優さんが見つからないってこともあるのかもしれませんね。
3:大人の事情
これもまた多いことではないかと思います。映画のエンドロールを観てもらうとわかるかと思いますが、『◯◯製作委員会』という記載が入っている映画が多数存在します。これは俗に言う『製作委員会方式』と呼ばれるものです。
(参考リンク:https://matome.naver.jp/odai/2135531133463372401)
簡単に説明しますと、スポンサーのことです。
邦画の製作費平均は1本あたり約3.5億円と言われておりますが、当たるか外れるかわからない1本の映画に自社だけで3.5億円をつぎ込むのは僕の感覚からするとかなり怖いです。カジノに3.5億円を1回のBETでかけたようなものです、正気の沙汰じゃないですね。
なので現代では、映画を作る際にはこの製作委員会と呼ばれる手法をとって、たくさんのスポンサーからお金を募ります。そして売上が上がれば収益をあらかじめ決められた条件で分配します。
デメリットも…
しかしこの方式にはデメリットもあります。
それはスポンサーが集まらなければそもそも映画が作れなくなるということです。
つまりどういうことかというと、映画1本にたくさん出資した会社が権力を持つということです。
大口出資したのが芸能プロダクションであれば無理してでも自社のタレントを声優として使いたがると思いますし、声優プロダクションであれば他社より自社の声優をキャスティングさせたがるでしょう。
大きなお金が動く以上、そういった大人の事情も絡んでくることがあるということですね。
まとめ
大人の事情にさらされ続けている身であるがゆえに最後の章がかなり長くなりましたが、いかがでしたか。
この記事で少しばかり映画の裏側を知っていただけたのではないかと思います。
次回の記事も楽しみにしていてくださいね!
http://seiyu-journal.com/archives/53http://seiyu-journal.com/wp-content/uploads/2016/12/OOK160217210I9A9043_TP_V-1024x607.jpghttp://seiyu-journal.com/wp-content/uploads/2016/12/OOK160217210I9A9043_TP_V-150x150.jpg洋画・吹き替えタレント声優,製作委員会方式自宅で洋画を見る人の約85%が「吹き替え派」で、半数以上がタレントよりもプロ声優による吹き替えを希望していることが分かった。スターチャンネルが男女1000人を対象に行った「映画の鑑賞スタイルと吹き替え需要の高まりに関する実態調査」で明らかになった。 映画を映画館で月2回以上見る人は全体の2%。一方、自宅で見る人は「週1回以上」「月に2~3回」「月に1回」を合わせて76%に及んだ。自宅で映画を見る際、字幕と吹き替えのどちらで見たいかを聞いたところ、85・7%が吹き替えと回答した。「ストーリーを把握しやすい」「ストーリーを楽しめる」などが多数意見だった。 また、吹き替え需要拡大の背景には、“ながら視聴”派の存在も大きい。30代~60代の女性に限ると「家事をしながら見るため」という声が4割以上あった。 吹き替え版の映画に出演してほしいタレントについての質問には「タレントではなく声優がいい」と答えた人が563人で、半数以上となった。話題性や知名度でのタレント起用よりも、登場人物になじみやすくストーリーに集中できる声優に演じてほしいという本音がにじむ結果となった。 ちなみに、自宅での映画観賞の場合、スマートフォンやタブレットで視聴している人はわずか4%。テレビモニターが96%と圧倒的だった。 (出典:http://www.nikkansports.com/entertainment/komakai/news/f-et-tp0-20130814-1172762.html) 約半数以上がプロ声優の吹き替えを希望 近年、タレントやアイドルが声優を担当したりすることが増えてきましたが、 上記で引用した記事によると調査対象の半数以上が、タレント声優ではなくプロ声優による動画の吹き替えを希望しているそうです。 この調査結果だけを見ると、どう考えてもプロ声優に吹き替えしてもらう方が原作の世界観を壊さないのでベターだと思うのですが、どうやら実際の制作現場はそうではないようです。 ではなぜ、タレント声優を吹き替えに使うのでしょうか。 あくまで私の想像の範疇ということを前提に、様々な可能性を取り上げてみます。 1:原作のファン以外の人にも観てもらいたい これが一番多いところではないかと勝手に思っています。 原作ファンは作品が映画化されたら必ず観に行くと思いますが、莫大な予算をつぎ込んでいる関係上収益を上げなければいけないので、ビジネス的には『原作のファン以外の人』にも作品を観てもらうことが必要です。 『原作のファンでない人』に興味を持ってもらうには内容や広告の出し方なども大事ですが、一番手っ取り早いのは好感度の高いタレントさんを声優で起用することです。 自分の好きなタレントさんが映画の吹き替えの声優になっていたら、あまり映画そのものに興味がなくても観てみようという気になりますよね。 そういった形で、タレントファンでもいいから観てください!そしてもしよかったら口コミで広めてください!!というスタンスでタレントを起用しているのだと思います。 2:そのタレントしかマッチする声がいない 第2の理由として、原作のイメージとマッチする声がタレントさんしかいないからタレントを使うという可能性もあるかと思います。 キャラクターに変にこなれた感じではなく、素人臭さが欲しい時にもそのような起用になるのではないかと思います。 声は100人の人がいたら100人とも違う声をしていますので、なかなか原作のイメージに合う声優さんが見つからないってこともあるのかもしれませんね。 3:大人の事情 これもまた多いことではないかと思います。映画のエンドロールを観てもらうとわかるかと思いますが、『◯◯製作委員会』という記載が入っている映画が多数存在します。これは俗に言う『製作委員会方式』と呼ばれるものです。 (参考リンク:https://matome.naver.jp/odai/2135531133463372401) 簡単に説明しますと、スポンサーのことです。 邦画の製作費平均は1本あたり約3.5億円と言われておりますが、当たるか外れるかわからない1本の映画に自社だけで3.5億円をつぎ込むのは僕の感覚からするとかなり怖いです。カジノに3.5億円を1回のBETでかけたようなものです、正気の沙汰じゃないですね。 なので現代では、映画を作る際にはこの製作委員会と呼ばれる手法をとって、たくさんのスポンサーからお金を募ります。そして売上が上がれば収益をあらかじめ決められた条件で分配します。 デメリットも... しかしこの方式にはデメリットもあります。 それはスポンサーが集まらなければそもそも映画が作れなくなるということです。 つまりどういうことかというと、映画1本にたくさん出資した会社が権力を持つということです。 大口出資したのが芸能プロダクションであれば無理してでも自社のタレントを声優として使いたがると思いますし、声優プロダクションであれば他社より自社の声優をキャスティングさせたがるでしょう。 大きなお金が動く以上、そういった大人の事情も絡んでくることがあるということですね。 まとめ 大人の事情にさらされ続けている身であるがゆえに最後の章がかなり長くなりましたが、いかがでしたか。 この記事で少しばかり映画の裏側を知っていただけたのではないかと思います。 次回の記事も楽しみにしていてくださいね!kouki geiken.osaka@gmail.comAdministrator声優ジャーナル(β版)
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